神様の憂鬱
「あなた様はおっしゃりました。人間には愛想が尽きたと。

この世界を終わらせてしまうおつもりだと。

だから、あたくしはそんなことを言うあなた様に愛想がつきそうでございます。

このままでは、たとえあなた様がこの世界を終わらせて新しくまた始めるときが来ても、

あたくしは今までのようにあなた様をお慕(した)いすることができませぬ。

あなた様に、新しくこの世界を作り直す度量があるようには思えないのです」

「弁財天、それは――ボクに喧嘩を売っているのかい?」

低い声でそう告げた。

すると、

「いえいえ、滅相(めっそう)もございませぬ。

あなた様に弓引くようなことなど、あたくしがするわけないではありませぬか。

それでもお疑いならば、このあたくしなどあなた様のお力で消してしまってください」

「だよね。わかっているよ」

ボクは、敵意を身体の奥に引っ込めた。

できたら、好意を抱いている彼女とは争いたくはない。

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