神様の憂鬱
「だから、ですね」

彼女が言う。

「あたくしに、あなた様のお力をお見せいただきたいのです」

「ボクの力?」

「ええ、そうでございます。

あたくしごときの力ではどうにもならないあの娘の心を、

あなた様のお力でお救いになるところが見たいのですわ」

彼女は、満面の笑みでボクを見る。

「それさえ見られれば、

あたくしはあなた様を今までのようにお慕いできることと思います。

安心してあなた様のお力を信じ、あなた様の決断に従い、

どこまでも着いていけるものと」

「ようは、あの娘を救えばいいんだね?」

頑なに祈りを捧げる娘を見下ろして聞いてみた。

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