神様の憂鬱
「だって、そうではありませぬか」

彼女がすねるように言う。

「あなた様ほどのお力を持つ神がその力を使ってしまえば、

こんな賭けなんて賭けになりませぬ。

あたくしの分が悪いというものですわ」

確かに。

彼女の言葉もその通りだ。

ボクが本来の力を出しさえすれば、

それこそ瞬きする間もなくこの賭けは終わるだろう。

なんせ、この世界を壊してしまう程の力があるのだ、ボクには。

「だから、ですね。

あなた様は、力を使わずにあの娘を救うというのはどうでしょう?」

「一切なしで?」

ええ、と彼女は頷く。

そして、

「できませぬか? 神の中の神たる、あなた様でさえも?」

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