神様の憂鬱
その問いかけは、ひどく意地悪なものだった。

そうやって言われれば、できないなどとはこのプライドにかけて言えない。

「わかったよ」

仕方なくボクは呟いた。

天歌の顔に、喜びが宿る。

「それでこそ主様ですわ」

などと言って、ぴたりと寄り添ってくる。

「ただし」

ボクは忘れずに告げた。

「力を使わないのは、あの娘に対してだけだ。それでいいな?」

「ええ、よろしゅうございます」

天歌は何度もうんうんと頷き、

「約束ですわよ」

と言った。

「あの娘の前では人間のように振舞うこと」と。

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