神様の憂鬱
「では、おはじめくださいな」

天歌の言葉で、ボクは地上に向かう。

簡単なことだ。

あの娘の話を聞き、それを叶えてやればすむだけのこと。

力を使わないのは彼女に対してだけ。

望みを叶えるために使うな、とは言われていない。

残念だけど、天歌。

賭けはボクの勝ちのようだね。

社の上の天歌は優しい眼差しでボクを見下ろしている。

この世界を終わらせたら、しばらく彼女と共に過ごすのもいいだろう。

そんなことを思いながら、木の影で人の姿をかたちどった。

時折、人間に変化して遊んでいたので振る舞いは完璧のはずだ。

どこからどう見ても、一介の人間のように見えるだろう。

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