神様の憂鬱
ボクが何も答えないと、

「なんなんですか?」

と重ねてくる。

けれど、ボクはなんと言っていいのかがわからない。

今まで、きちんと向き合って人間と話したことなどないからだ。

考えていることなど頭を覗けばわかったし、思っていることなど心を読めばわかった。

こうして力を封じられてしまえば、どうしていいのかがわからなかった。

「警察、呼びますよ」

彼女がはっきりとした口調で言った。

警察?

このボクに?

思わず笑みが漏れてしまう。

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