神様の憂鬱
「ちょっと待って。昨日は悪かった」

背中に向けて告げると、十分に距離をとってから彼女が振り返る。

そして、

「あなた、誰なんですか?」

「ボク? ボクは神様だよ」

昨日の夜から考えていた。

彼女は毎日この弁才天の元に通う娘。

だとしたら、神様を嫌いなはずはない。

そう思ったんだ。

けれど彼女の反応は、ボクが思い描いていたものとは違った。

怪しむような目で見つめてくる。

まぁ、無理もないのかもしれない。

彼女の目に映るボクは、ただの人間のように見えているのだし。

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