神様の憂鬱
「証拠は?」

彼女が言った。

「神様だったら、証拠を見せて」

「いいよ」

ボクは二つ返事で頷いて、力を振るおうとした。

すると、

『ダメですよ』

頭の中で声がした。

見上げてみると、社の上で天歌が首を振っている。

『どうして?』

ボクは天歌に向けて、問いを飛ばす。

天歌がそっと微笑んで、約束ですもの、と言った。

めんどくさい。

力を見せるのもダメなのか。

『ケチ』

心の中だけで呟いて、ほったらかしになっていた娘に顔を向けた。

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