神様の憂鬱
社の上では、天歌がくすくすと笑っている。

ボクは視線だけでそれを改めさせ、人間の娘に目を向けた。

いつのまにかボクの横を通り抜け、社の前に立っている。

「ねぇ」

ボクが話しかけると、そのままの姿勢で言われた。

「静かにして」と。

どうやら、またお祈りに入るらしい。

そうなってしまえば、あとは弁才天たる天歌の仕事だ。

ボクは後ろでぼんやりとしていることしかできない。

まさか、祈りをボクが邪魔するわけにもいかないしね。

本当はそのコエを聞いてみたいけれど、そうしてしまえばルール違反だ。

神たるボクがルールを破れば、その効力なんて無になってしまう。

ま、この世界が終わってしまえば、そんなこと関係ないのかもしれないけどね。

< 44 / 200 >

この作品をシェア

pagetop