神様の憂鬱
少し離れた大黒天の社の木に腰掛けて、じっと彼女の後姿を眺めていた。

社の上では、天歌が悲痛な眼差しで娘を見つめている。

それほどこの娘が気になるのだろうか?

一介の人間に過ぎないというのに。

その声が聞こえたのだろう。

天歌が瞳をボクに向けて意味深に微笑んだ。

その微笑の意味は、残念ながらボクにはわからない。

人間で言えば、プライバシーの侵害とでも言うようなものだろうか。

神にだって、知られたくないことの一つや二つある。

もちろん、ボクが教えろと言えばそれは叶うのかもしれないがボクだって鬼ではない。

まぎれもなく、神なのだから。

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