神様の憂鬱
三十分程して、彼女が大きく息をつきながら振り向いた。

ボクはそれを機に立ち上がり、彼女の元に歩み寄る。

「まだいたの?」

ボクを見て驚いたように呟く。

「ん、いたけど?」

「暇なのね、あなたって」

薄く微笑んで、

「仕事とかしてないの?」

と訊いてきた。

仕事、ねぇ。

「していないわけじゃないけど――」

「けど?」

小首をかしげて訊いてくる。

「暇、なんだろうね、きっと」

サラサラと流れ落ちる彼女の黒髪を眺め、呟いた。

そして彼女のことをじっと見つめる。

今までは人間ごときと思い、きちんと見ていなかったから。

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