神様の憂鬱
小さな目に小さな鼻、それに引き換え大きな口。

思わず触れたくなるような、漆黒の髪。

人間にしては中々のものだ。

ま、きみには負けるけどね。

社の上で心配そうに見つめてくる天歌にコエを飛ばし、そっとほくそ笑む。

「ねえ、君の名前を教えてくれないか」

微笑を浮かべたままで訊いてみる。

彼女は少しだけ考え込むように黙り、「紗良奈」と小さな声で囁いた。

「紗良奈? きれいな名前だね」

ボクが褒めると、

「ありがと」

少しもうれしくなさそうに彼女が答えた。

< 47 / 200 >

この作品をシェア

pagetop