神様の憂鬱
「その名前で呼ばないで!」

髪を振り乱して、両手で顔を覆ってしまう。

訳がわからないボクは、天歌に答えを求めて振り向いた。

けれど青を背景にして立つ天歌、彼女も悲しげに目を細め、力なく首を振っていた。

おいおい、ボクはどうすればいいんだよ?

そうコエを飛ばしてみるが、返ってくる答えはない。

諦めて、ボクは沙良奈と名乗った娘に目を向けた。

彼女は自らの手で顔を隠したまま、微かな声で囁いていた。

「ごめんなさい」と。
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