神様の憂鬱
どうやら、ボクは彼女の触れてはならない場所に触れてしまったようだ。

けれどソレこそが、ボクの救わなければならないモノらしい。

でも――今は、無理みたいだね。

心の中でそっとため息をつき、

「わかった、ごめんよ。沙良奈」

優しく声をかけてみる。

「紗良奈、紗良奈ってば」

何度か呼んでみたけれど、彼女は帰ってこない。

ふむ。

ボクは、ほんの少しだけ力を飛ばす。

彼女に使っていないんだから、これくらいいいよね。

そう天歌に向けて言い訳しながら。

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