神様の憂鬱
そのうち、彼女が手のひらで作った扉を開けた。

そして、驚いたように自分の回りを見た。

白い小鳥が、彼女の頬に口付けを送る。

それを信じられないように見つめ、彼女がくすっと笑った。

そろそろと手を伸ばし、白い羽を優しく撫でる。

もう、いいよ。

ボクが呟くと、鳥たちはいっせいに飛び立っていった。

来たときと同じように、チュルリチュルリとさえずりながら。

「今の、見た?」

喜びを表しながら、彼女が問いかけてくる。

「見たよ」

ボクが答えると、

「すごかったわね」

と彼女が言った。

そうだね、人間のきみにしてみれば。

声に出さずに呟いていると、上からコエが落ちてきた。

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