神様の憂鬱
「また、振られてしまいましたわね」

音もなく降り立った天歌が、楽しそうに呟いた。

「んー、振られたねぇ」

去っていく背中を見送りながらそれに答えた。

仮にも神様であるボクの頼みを断るなんて、信じられない。

ボクのことを人間だと思っているとしても、実際には神を裏切る行為ともいえる。

「天罰でも、与えちゃおうかな」

「本気、ですか?」

困ったように微笑みながら、天歌が問う。

「んー、うそうそ。冗談だよ」

空に向かって腕を伸ばした。

そこら中から飛んできたエネルギーの塊のようなものが、指先から流れ込んでいく。

少し疲れていたけど、これで平気だ。

「天歌、さぁ」

呟くと、

「なんでしょう?」

耳に良い声が返ってくる。

「散歩、行かない?」

「ええ、ご一緒させていただきますわ」

ふむ――

これが、普通だよねぇ、やっぱ。

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