神様の憂鬱
夜になると、全ての生き物は寝静まる。

天歌は、ボクの頼みを聞いて3曲目を爪弾いていた。

さすがは芸事の神様というか、歌が好きだと自分で言い切ったというか、

その腕は絶品もの。

くつろげるし、眠りを誘う。

ま、ボクらは人間ほど眠ることを必要としないので、意味がないのかもしれないけどね。

それでもたまには眠ったりもする。

俗にいう冷やかし程度に。

「ねー、天歌」

「なんでございましょう?」

弦を指で弾きながら、歌うように言う。

「紗良奈ってさぁ、なんで今日泣いたの?」

「さぁ、どうしてでございましょうね?」

曖昧な笑みを浮かべて瞳を隠した。


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