神様の憂鬱
「もう、知ってるくせにー」

指を動かして、小さな力を飛ばす。

ひゅるり、と風が吹き、黒髪の一房をなびかせた。

ただ、それも一瞬のこと。

細い指がピンと弦を弾くと、なびいていた髪はきちんと元の位置に落ち着いた。

「お戯(たわむ)れを」

「キミが、意地悪だからだろ?」

「勝負、ですから」

「そうだったね」

「そうですわ」

ため息をついてごろりと寝転んだ。

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