神様の憂鬱
そして、

「ふざけんなよ、てめぇー」

などと言ってくれる。

仮にも、ボクに向かってだよ。

信じられない。

「何様だと思ってんだよ? 人が下手に出ていればいい気になりやがって」

掴みかかろうと伸ばしてきた腕は、やはり宙でとまる。

ボクはそれを冷たい目で眺めながら、また大きく息をついた。

何様?

馬鹿だね、やっぱりきみは。

知っているだろ?

ボクが、アレ様だってのは。

その言葉は、いちいち声になんてしない。

直接、男の脳に送り込んでやる。

すると、男の腕がぶらりと垂れ下がった。

嫌らしい笑みを顔中に貼り付けて、

「そうでした」

なんて媚びた声音で言ってくる。

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