神様の憂鬱
「あなた、体操でもやっていたの?」

「なんで?」

「だって――」

彼女が首を後ろに倒して、社を見上げる。

「10メートルくらいはあるわよ? 

普通の人だったら、骨折してもおかしくないくらい」

「そうなの?」

「わかんないけど」

「ふーん」

呟いてボクは続ける。

「人間って、ずいぶんもろいんだね」と。

彼女は、また訝(いぶか)しげな目を送りながら、

「また、そんな変なこと言って」

ボクを無視して社の前に向かった。

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