神様の憂鬱
「またお祈りー?」

「そうよ。邪魔しないでね」

「んー、別にいいけどさー」

「いいけど?」

「ボクにも少しぐらい拝んでくれたっていいんじゃない?」

「どうして? わたしがあなたに」

苦笑しながら彼女は瞳を閉じる。

口を微かに動かして、祈りの言葉を宙に飛ばす。

ボクだって、神様なのになぁ。

それに、ボクのが偉いのに。

ぶつぶつ大黒の社に座って呟いていると、

『申し訳ございません』

天歌がすまなそうに呟いた。

「あー、いいよ。別に、キミが悪いわけじゃないからねー」

思わず声に出して呟くと、紗良奈が振り向いてボクを見た。

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