神様の憂鬱
そして、

「またそんなところに座って――ダメよ」

目を細めて怒られてしまう。

ふむ。

人間の娘にまた怒られてしまったよ。

ねー、大黒。

天歌が忙しそうなので、後ろの社に話しかけてみる。

けれど、どうやらまだ留守のようだ。

けしからん、ちょっと社を開けすぎなんじゃないの? きみ。

帰ってきたら、お説教でもしようかな。

そうは思ったが、ついこの間天歌に向けて言っていた自分の言葉を思い出す。

『人間なんて、どうせボクらがいるのかどうかもわからないし』

ま、いいか。

呟いて、紗良奈のことをぼんやりと眺めた。

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