神様の憂鬱
彼女は、今日も一心不乱に祈っている。

何をそんなにもお願いしているのだろう。

知りたい――

少しずつ、彼女のことが気になりはじめた。

こんなにも人間のことを知りたいと思ったのは、初めてのことかもしれない。

簡単に覗(のぞ)けないからこそ、気になるのだろうか。

それとも、このボクを怒る彼女だからこそ、なのかもね。

「まだー?」

ボクの声だけが辺りに響く。

「ねー、ねーってばー」

しつこく話しかけるボクに、彼女が苛立たしげな視線を送る。

ふーん、そんな目でボクを見ると、バチが当たっちゃうかもしれないよ。

そう言いたいのを我慢して、おとなしくすることにした。

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