神様の憂鬱
「もしかして、お金とか持っていないの?」

「お金って、あれかい? 丸いのとか、絵が書いてある紙のこと?」

時々見かける、人間たちが使う貨幣を思い出し呟いた。

彼女はまた、大げさに息をつく。

「あなたって、どうやって暮らしているわけ? 

よく今まで生きてこれたわね」

あきれたように苦笑する。

きみよりずっと長生きしているけどね。

声に出さず心にとどめ、

「そうかなぁ」

と呟く。

「とにかく」

と彼女が言った。

「これからは、この中に入ってはダメ! 社の上に登るのもダメ!」

弁財天のお堂を指差して、怖い顔をする。

どうしてー? なんていえないくらいの剣幕で。

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