神様の憂鬱
「じゃーさぁ、ボクはどこにいればいいわけ? どこで寝ればいいの?」

不満げに訊ねると、それは――と彼女が口ごもる。

そこでボクはいいことを考えた。

というよりも、むしろ決めた。

そう、勝手にね。

「じゃ、今日からきみの家とやらに行くことにするよ」

そう言って歩きはじめる。

先ほど彼女が指差した方向に。

「ちょっと待って。嫌よ、そんなの」

「どうして?」

「どうしてって――当たり前でしょ? 少し考えればわかるじゃない」

「わからないよ、ボクには。どうしてダメなの? 

きみがここで寝るな、と言ったんじゃないか。

ならきみにはボクの新たな居場所を世話する義務があるよ」

「ないわ! そんなもの」

彼女が大きな声で言い放つ。

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