神様の憂鬱
「コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

背中を向けたままで、紗良奈が言った。

「なぁに? コーヒーって」

ボクが訊ねると、

「コーヒーはコーヒーでしょ?」

苦笑交じりにそう言われる。

「だから、そのコーヒーについてボクは聞いているんだけど?」

馬鹿にされたような気がして、思わずむっとする。

「これよ」

透明のビンを掲げて見せてくれた。

中には黒い粉が入っている。

「それが、コーヒーなの?」

ソファーから立ち上がり、渡してもらったビンを何度か振ってみた。

シャカシャカ音がする。

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