神様の憂鬱
「あのさぁ、ボクもシャワーしたい。ここ、開けてよ」

トントン、と扉を叩くと、

「冗談言わないで! 開けられるわけないでしょ。

今はわたしが入っているの。もう少し待っていて」

「えー、やだよー。一緒にはいろ」

言いながら、ノブをガチャガチャと回す。

「ちょっ、やめてよ。やめってって!」

大きな声で紗良奈が怒鳴った。

「わたし、服着てないんだから!」

「いいじゃん、別に」

「よくない! 怒るわよ?」

「もう怒ってるじゃん。それに、いつも怒ってるくせに」

向こう側から大きな衝撃が来た。

ドン! と、扉が音をたてる。

どうやら、紗良奈が拳で叩いたようだ。

「いい? 絶対に入ってこないでよ? 

入ってきたら、警察に通報するからね!」

そう残して、ガチャンと音がした。

水の音がまた遠のいていく。

ふんっ、別に警察なんて恐くないもんね。

でもあんなに嫌がるんだから、今日はやめておこう。

コーヒー、もらえなくなっちゃいそうだし。

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