神様の憂鬱
ソファーの上で寝返りを打っていると、

頭にタオルを巻きつけた紗良奈がドアを開けて出てきた。

「いいわよ、どうぞ」

ぶっきらぼうにそう言って、浴室を指差した。

「ん、シャワー?」

「そうよ。入りたいんでしょ?」

タオルで髪の毛を拭きながら彼女が言う。

どうやら、まだ怒っているようだ。

人間はなんて怒りっぽいのだろう。

だから寿命が短いのかもしれない。

「入らないの?」

「入るよ」

ボクはソファーから立ち上がり、浴室の中に進む。

紗良奈が横目でボクを見ていた。

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