神様の憂鬱
「ここで服脱ぐの?」

「そうよ」

うんざりしたように彼女が頷く。

ボクが洋服を脱ぎはじめると、彼女が慌ててドアを閉めた。

勢いのよい風が、ボクに向かって飛んでくる。

けれど途中でスピードを緩め、ふんわりと髪の毛を動かすだけ。

ガラスばりのドアを開け、中に入る。

白い湯気がもくもくと煙っていた。

ふむ。

「紗良奈ー」

自分の声が浴室に響いた。

「紗良奈ー、紗良奈ー!」

「なによ、もうっ!」

ガラス越しに彼女の姿が見えた。

声だけでもわかる。

また怒っているみたい。

ほんと、飽きないね。

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