神様の憂鬱
「もう、いい? わたし、いくわよ?」

「ん――大丈夫だと思う。いいよ、いっても」

ガラスに映る紗良奈がゆっくりと消えていく。

そしてまた、ガチャン、と音が聴こえた。

ボクはしばらくぼんやりとシャワーにうたれ、飽きてくるとお湯を止めた。

濡れた髪の毛をぶんと振り、浴室から出る。

目の前には、大きなタオルが畳んで置いてあった。

「これ、使ってもいいんだよね」

ひとりで呟いて、濡れた身体を拭く。

ドアを開けると、驚いたように紗良奈がボクを見た。

「もう出たの? ちゃんと洗った?」

「うん。もういい。おもしろかった」

「そう」

ソファーの上で両足を抱えて座り、膝の間に顔を埋める。

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