年の差、恋の差。
この訪問演奏は前から頼まれていた。

けど、伸びに伸び、やっとできるようになった。

職業体験の時も私が『吹奏楽部』と分かるとオーナーさんは目をキラキラさせ、私に「いつ来てくれるのっ!?早くきてほしいんだよっ!!」と、話してくれた。

そのオーナーさんのワクワクした気持ち、見ているだけで悲しくなった。

―――『私たちは気持ちのこもった演奏なんてしていない』
ホントのことを言えずに「頼んでおきますね」と笑うしかなかった。


本番もやっぱりミスばかり。
あわただしいし、余裕もない。


いやだ、いやだ。
こんなところにいたくない。


演奏会が終わるとそれから私は部活に顔を出さなくなった。

< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop