お嬢様が男子校⁉︎

部室まで行き、深く深呼吸をしました


そして、部室のドアを開け

「よぉ、桜咲、もう入部届け出したのか?」

一番初めに話しかけて来たのは東雲

「はい、とりあえず出しました」

「じゃあばぁさんに許可もらったんだ?」

「はい、一応」

「じゃあ仲間だな」

なぜか仲間という言葉が嬉しく感じました

「はい」

だから返事をする時不覚にもふにゃって笑ってしまいました


「じゃ、今東城先輩いねぇから副部長の指示に従おうぜ」

「はい、」

「副部長の稲葉 明希だ、お前が新入部員の桜咲 桃乃か?」

すごい貫禄のある人だ…東城先輩より稲葉先輩を部長にしたほうがよかったのでは?←

「あっ、はい初めまして、桜咲 桃乃です」

「サッカーの経験は?」

「昨日の少し軽いゲームくらいですかね」

私がそう言うと稲葉先輩は少し考えた風に頭を捻り、

「ほぼ初めてなのにあんなシュート?筋力が並み外れてあるんじゃないのか?」

「??」

先輩が何のことをおっしゃっているのかがよくわかりません

「練習の事だが、桜咲はとりあえず一週間くらい、基礎練習と体力作りに励んでもらう」

体力作りですか…

でも、私は人並みには体力あるつもりなんですが

「あの、私は人並みには体力あるつもりなのですが」

私がそう言うと全部員が振り返った

「桜咲にそんな体力あるわけないだろ?」

笑いながら言うのは東雲

「笑いすぎです!私にだって体力あります!」

「ほんとかー?短距離なら得意なんじゃねーの?走る距離は短ぇし」

ここまで言われたら見返さないわけがありません

「絶対に見返します!待っていてください!」

一人闘争心むき出しの私は周りから見ると炎が燃え盛っているように見えるでしょう

「大丈夫かよ…」



私は、稲葉先輩に言われた練習メニューを着々とこなしていき

最後はランニングです

たしか、10kmでしたよね

サッカーの試合では10km走るらしいので基礎体力には必要ですね


どこからどこまでが10kmなのでしょうか…

携帯で調べてみましょう


ポケットから取り出した携帯でここから10kmを調べてみました

「あぁ、ここまでですか、楽勝です」

では、行ってきます





待って…10kmって何分くらいかかるんだろう…

私は走りながら簡単な計算をした

1kmが3分として、30分くらいか…って30分⁉︎

今が4時30ですから…5時…習い事には間に合いますが、みんなに混ざってサッカーしたかったです

とりあえず、終わらせます、なんとしてでも目標は……30分をきることです


私はそう自分に言い聞かせ、早めに走った


ー20分後ー


今何km地点でしょうか

走りながら携帯を取り出し地図をみた

…約7km地点ですね

って…あれ?先輩は10kmって言いましたよね?

私は10km走らなきゃいけないのにこれじゃあ往復20kmじゃないですか!

私はすぐに来た道を引き返しペースを上げて学校へと向かった

現在4時52分…あぁ、刻一刻と時間が過ぎて行く…

あと2kmです頑張りましょう…


「はぁ…はぁ」

さすがに14kmはきついです…10kmまでならなんとかなりますが…もっと普段から運動するべきでした

4時58分

息をきらしながらもグラウンドに続く階段を駆け上がり部室の前まで来た

「はぁ、はぁっ…つ、着きました」

「遅いぞ!何をしていたんだ⁉︎」

肩で息をしている私に稲葉先輩は怒声を響かす

「すみ、ませ…」

「お前、探してもいなかったけどどこに行っていたんだ?」

「えっ?ちゃんと10km走りましたよ?最初勘違いしてて結局14km走っちゃいましたが…」

わたしがそう話すと

「…俺がいつ10km走れといった?」

「え?言いませんでした?」

「俺はとりあえずグラウンド5周と言ったのだが…最初から10kmも走らすわけねぇだろ?」

「私の勘違いですか…」

「水分補給しておけよ」

「はい、お気遣いありがとうございます」

そう言うと先輩は私の頭にタオルをかけてくれました

優しい方です












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