お嬢様が男子校⁉︎
「東雲さ…じゃなくて、東雲!教科書見せて下さい」
…なんか…
「なんかおかしくねぇか?なんで名前は呼び捨てなのに、その他は敬語なんだよ」
「それはこっちに置いとい…「置いとくな!」」
「もう授業が始まります、教科書見せて下さい」
「無視か!」
「もう…いいじゃないですか、慣れてください」
よくわかんねぇなこいつの家庭事情は…
ー10分後ー
「……ここ、全然習っていません…」
「は?マジ?どこまで習ってんの?」
「前の学校だったら23ページまでです」
うちは32ページだから…32ー23で
…えーと6?×
正しくは9 ⚪︎
「…俺が教えようか?」
「…いえ、教科書を見れば解き方はわかると思いますし、東雲さんは数学が苦手ですよね?さっきから全然問題、進んでませんし、32ー23がなぜ6になるのかも私には皆目見当がつきません」
「なぜ俺の心の声を!あんたエスパー⁉︎それに教科書だけ見て覚えられるわけねぇだろ」
「教科書は、私にとって一番わかりやすい参考書と言ってもいいでしょう」
「…そうなのか?」
やっぱこいつわかんねぇ…
「…あ、先生」
手を挙げた桜咲
「なんだね?桜咲くん」
「二段目から解答間違ってると思います、それと問2の三段目は2xじゃなくて3xかと思われます」
おお…俺にはちんぷんかんだぞ?
「あぁ本当だありがとう桜咲くん、君はもうこの範囲は習っているのかい?」
「先ほど、この学校で習っている範囲を自己学習しました」
「そうかね、感心、感心」
「恐れ多いです」
こいつすげーななんでもできる天才なのか?苦手なものとかねぇのかな…
「何か?」
「いーや?別にー」
こいつは完璧なのか?
漫画とかで出てくるヤツ
「なぁ?」
俺は数学の終わった休み時間桜咲に話しかけた
「はい?」
「あんたって50m走って何秒?」
「ん…最近測ってませんが小学生の時は6.2でしたけど…」
うっそ早!俺より早いじゃん…体育祭いけるんじゃねぇの?
「へー早いな…」
「あっ…でも、あくまでも小学生の頃の記録ですから、もしかしたら今は7.2と1秒くらい遅くなっているかもしれませんね」
それでもはえーよ
でも俺が早いなって言ったらすげー速さで否定したな
なんでだ?
「それでも早いよ」
俺が笑いながら言うと
「…?気持ち悪くないんですか?」
突然の言葉にビックリした
「?どゆこと?」
「なぜか、小さい頃から周りに気持ち悪がられて一線置かれてました」
あぁ、なんでもできるからか?
「そいつらがおかしいんじゃね?だってそれって桜咲の才能だろ?ちゃんと育んできたんだろ?」
勉強…は教科書みたら覚えるって言ってたよな…
運動…は元からはえーんだよな…
「いや…生まれ持った才能か?」
「…よくわかりませんが、ありがとうございます」
なんで感謝?
俺が一人で考えていると
クスッと笑い声が聞こえた
笑い方までもがお嬢様なんだな
小さく優雅に笑う綺麗だ
って俺は何言ってんだよ…ポエムですか?
「東雲さん?」
こいつの顔が近くにあった
「どわぁ!」
ビックリして変な声が出ちまった
「そんなに驚かれなくても」
「悪りぃ」
「あっ、次世界史ですよ…ってどこに行くんですか?」
制服の裾をガッチリ掴んでる桜咲
「そんなのサボるに決まってんだ…「ダメです、学費は誰に出してもらってるんですか?お母様ではないんですか?ちゃんと受けて下さい」
こいつ…意外と強え…それを言われれば
「しゃーねーな」
「しょうがなくないです」
「真面目だな」
「東雲さんが不真面目なんです」
「あ…また東雲さんって言った」
さっきは驚いて言わなかったけどまた言ったから指摘した
「…東雲が不真面目なんです」
「良く出来ました」
「む…」
お?なんですかその可愛い顔は
「世界史の教科書は…」
ガサゴソ
プリントや教科書が入ったきたねぇ俺の机の中世界史の教科書を探している
だが一向に見つからない
「…忘れたんですね?」
探している俺に言う桜咲
「……」
「忘れたんだ…」
「忘れたんじゃねぇ、家に置いてきたんだ」
「それを忘れたって言うんです」
「だーから!置いてきたんだ」
「どこの世界に家に置いてきた事を忘れてないって言いきる人がいるんですか!そんなの東雲さ…東雲だけですよ!」
そんな俺らのやりとりを見て後ろの席の神田 隼人 通称隼人が笑ってる
「君たち仲良いね」
「否定はしねぇ」
「しないんだ」
より一層笑ってる隼人
「えっと…?」
「あぁ、こいつは神田 隼人俺の…「愛人だよ♪よろしくね」
はぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎
「ええええ⁉︎男の子同士なのに⁉︎…これはもしやボーイズラ…「だ━━━━━━
言うな!その先は言うな!それは断じてない!」
「そんな否定しなくてもー」
「否定するわ!」
「えー、あっそうだ僕が教科書貸してあげようか?」
「間に合ってますー」
誰がお前なんかに
「えー?でも彼女はそうじゃないみたいだけど?」
すぐ後ろにいる桜咲を見ると目を輝かせていた
「いいんですか⁉︎神田さん!」
「隼人でいいよぉー」
「じゃあ隼人さん!」
「んーもう一声!」
無理だろ?俺でも東雲どまりだ
「では、隼人くんではいかがですか?」
ええ⁉︎
俺、苗字…時々さんつく…
なんでこいつだけー!
「あれ?優雨ヤキモチ?」
「ちげぇよ!ばか!」
「バカぁ?優雨には言われたくないな」
…否定はできん
「ヤキモチって美味しいですよね!今年、お爺様がたくさん送って下さいましたほっぺがおちるかと思いましたぁ」
そこ!一人で天然しないでください
「…優雨…この子天然?」
「こいつの天然ぶりはもう世界遺産なみだぞ?お前自己紹介のときいなかったっけ?」
「んーいたけど寝てた昨日遅くまでゲームしてた」
「何のゲーム?」
ちょっと興味ある
「ドラ⚫︎クエ」
「マジ⁉︎俺も今やってる!もう直ぐラスボス!」
「俺もう倒した」
「はっえ!俺のもやって」
「やだ、それに後から調べたらHP100000あったんですけど…」
「マジか!」
こいつすげーなこの外見からは想像出来ねぇ
「……ドラ⚫︎クエ?ってなんですか?」
一人で状況を理解できてない人
「…あんたゲームしたことある?」
「ゲームという存在は知っていましたけどしたことはありません、頭と目が悪くなるってお婆様が」
「…え、でも眼鏡かけてるじゃん」
「これは、なぜか万全を尽くしているのに目が悪くなったんです…なぜでしょう」
「いやなぜでしょうって聞かれても…こっちが聞きてぇよ」
「でも授業中だけですけどね」
授業中限定か
「…」
「なんですか?人の顔じろじろ見て…何かついてます?」
「鼻毛…」
「えっ⁉︎」
俺が冗談を言うと、こいつは赤くなって顔を隠した
「うっそー」
俺の事名前で呼んでくれないお返し
「つかなんで俺だけ名前で呼んでくんねぇの?」
「え、だって隼人くんは可愛いじゃないですか、その点東雲は金髪だし、ピアスだし学校に何しに来てんのこの人みたいな…だから苗字にしてみました」
「……お前から見た俺ってどんだけ印象悪りぃんだよ、髪が金髪なのは染めてるんじゃなくて母親がフランス人でピアスは好きだからつけてんの」
「ハーフさんなんですか⁉︎わぁ、すごいです!英語喋られますか?」
「残念ながら俺は日本生まれ日本育ち」
「そうなんですか…残念です」
「こら、おしゃべりをやめなさい」
話をしていると先生が俺と桜咲の間に顔を挟んだ
「世界史って矢田ちゃん先生なんですね」
「うん♪そうだよ」
何♪飛ばしてんだよアホ教師
「アホ教師とはなんだアホ教師とは…」
「聞こえてたのかよ!」
「おうとも、先生は悪口は聞こえる天才だからね、いい事も聞こえるけど」
「なんだよそれ」
都合のいい事は聞こえて他聞こえねぇってか?