♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
そう言って春子がヴァンパイア礼士につれて来られた場所は、公園内にある休憩所だった。

「おっと乙女座、ここでストップだ!

奴らに見つからない様に、ここで待機だ。」

春子は、ヴァンパイア礼士に言われるがまま、休憩所の建物の陰から、休憩所の側に置かれた自販機前に立っている、二人の女生徒の様子をうかがった。

一人は誰だか解らないが、もう一人は、雪野恵の様子を見守っている間に、いつの間にか姿を消していた、あのポニーテールの少女だった。

二人の少女が、何やら話し込んでいる。

「ねえ、京子。恵なんだけれど、どうやら病気を発症したらしくてさあ、ひどく取り乱してやがんの。

…そこでさあ、前から考えていたあの計画、より面白く出来そうで、本格的にアンタの力、借りたいんだけれど。」

「あの計画って、ああ、雪野恵の今制作している絵画、『金色の天使』を台無しにしてやるってやつ?


「アンタ、美術部だけじゃなくて、演劇部にも所属しているでしょ?

例のあれ、こっそり持ち出しておいてよ…

実行は、今日から六日後、美術室にて…

雪野恵の、『金色の天使』を台無しにする!」




「…悪の心を感じ取った時、ヴァンパイア礼士、悪を『助ける為に』参上する!ってね。

…つまり、いつもの様に乙女座、お前に刺激的な事件をプレゼントしてやるって事。

楽しみにしときな!

俺様は、先程のシートの場所で横になり、意識を一旦安宮礼士に譲る!

礼士の奴には、ショッキングな物見たせいで、気絶しちまったようだとでも言っといてくれ…」




「…ハルちゃん、ハルちゃん!」

「えっ?あっ、はい?」

「…もう!本当に、一度考え込んじゃうと、人の声が耳に入らなくなるんだから!

…当然、受けるよね、この挑戦状?」
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