♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
陰険な計画
「奇術のタネに利用…ねえ。

…じゃあ、何を借りたいのか、いつ、誰が、何を、どんな目的で借りていくのか。

面倒くさいかもしれないけれど、この台帳に記載されている項目に書かれている内容をよく読んで記入して頂戴。

ああ、それとここに2カ所サインを…」

-ハルちゃん、相変わらず几帳面な人だね、太田さんって。

生真面目すぎて、取っつきにくいんだけれど。-

-まあ、前からそれは有名だから。

でも、演劇部の部長がこの人だから仕方がないですよ。-

春子と礼士の二人は今、演劇部の部室に来ていた。

その訳とは、例のポニーテールの少女、二人の調べでは彼女は小谷静と言うのだが、彼女が紅葉公園の休憩所近くの自販機前で京子と言う少女に言っていたあの事、


-例の物、持ち出して置いて-


それを確認する為であった。

-でもハルちゃん、一体どうやって例の事聞き出すつもり?

まさか直接、最近無断で持ち出された小道具ありませんか、って聞き出すわけにはいかないだろ?-

そう言って、礼士は春子に不安そうな表情を投げかけたが、

-大丈夫。礼士先輩、任して下さいな!-

そう言って、春子は礼士にウィンクすると、太田部長にこう切り出した。

「面倒くさいだなんて、とんでもない。

大切な小道具お借し頂き、ありがとうございます。

…それにしても、太田部長も大変ですね。

今は秋の季節。学園祭が近くなると、私達以外にも小道具借りに来たりする人もいるでしょうから。

ドタバタで、気付いたら、知らない間に無くなってしまう小道具もあるでしょうから、台帳管理は大切ですよね。」
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