♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
急な事で驚く春子。礼士は続けて言った。

「美術部に決まってるじゃない!

今日だったら、来てるかも知れないよ、恵さん!」




「…そう。静がそんな事を計画して…」

「あの人は、はっきり言って異常です!

そんな人が、今日から数えて二日後に、アナタの絵をめちゃめちゃに…

いえ、アナタにそれをさせようとしていると思われます。」

「お邪魔でなければ恵さん、私と礼士先輩がその当日、この部室に見学を理由として、そのナイフがすり替えられないように気を払って置きます!

…でも良かった。計画が実行される前に、ようやく伝える事が出来て。」

「紅葉公園での出来事があってから直ぐに、あなた達が私に会いに、二年三組の教室やこの美術部に何度か足を運んでくれていた事は、他の部員から聞いてたわ。

本当に、何度もごめんなさい。」

雪野恵。前髪が綺麗に揃った、長い黒髪の少女で、女の子であれば誰もが羨ましがるであろう、パッチリとした瞳に二重まぶた、漫画にでも出てきそうな美少女とでも言えば、その様子が伝わるであろうか。

話し方の感じからしても、どこか聞き手の気持ちがホッとしそうな、どう考えても人から恨まれる様なタイプには見えない。

「いえ、あんな事があったから、家で何日か気を休められていてもおかしく無いですから。

でも私、ホッとしました。

ようやく恵さんが、学校に来る事が出来る様になって。」

「私のせいで、随分関係ない人まで迷惑かけてしまったわね…

所で松永さん、安宮君。なぜ静が私をそこまで憎んでいるかは、その時静は何かあなた達に話をしていたかしら?」

「いえ。」

「…もし、迷惑でなければ聞いて頂戴。

私と静、二人の関係を。

ついて来て。今は17時8分。

まだ今なら、図書室も開いてるわ。」
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