♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
「そ、それじゃあ実質、小谷静の方が…」

「本当の輝きの魔術師?

じゃあ何故、今現在その呼び名が恵さんの物になり、小谷静は…

…所で、小谷静はこの部に所属する京子と言う人に、わざわざ計画の実行を頼み込むと言う事は、もうすでにこの部を辞めていると言う事になると思うのですが。」

春子がそこまで話すと、恵はコクンとうなずき、再び語り始めた。

「…私達は、本当に仲の良い友達だった。

…あの出来事が起こるまでは。

見て、次に、この記事を。

春風展の次に開催された、第22回全高展の記事。

今回も名誉な事に、春風展に続き最優秀作品に私達の絵画が選ばれたんだけれど…

…でもこれが、私と静の間に溝が出来た、手始めとなったの。」

そう言う恵に言われるがまま、再びその広報誌に目をやると、おやっ?と、二人は不思議な顔をした。

「あ、あれ?この時点で、掲載されている写真に、静さんの姿が無いみたいだけれど…」

「それだけじゃないわ、礼士先輩。ここに書かれているインタビュー記事には一切、小谷静の事が書かれていない。

いや、むしろこの写真と記事の掲載の仕方だとまるで…」

「…そう、まるで最初から、今回の作品に、静が一切関わっていないかの様な記事の掲載の仕方をされている。

あたかも、今回の功績が、私自身で全てを成し遂げたかの様な書かれ方をしている。」

「小谷静は、この時点でまだ美術部員だったんですか?」

「ええ。」

「じゃあ、何故?」
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