♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
「だが、そんな過程を踏んだとしても結局、よほどの事が無い限り、雪野恵の絵画を台無しにするのは、やっぱりマジックナイフだろうよ…」




「…謎、謎、謎過ぎるわ!

一体、どういう事よ~!」

その晩、決戦本番を前に未解決問題を抱えていた春子は、なかなか寝付けないでいた。

パジャマ姿の春子は、自分の部屋の勉強机に向かって、今解る全ての事をノートに書き出していた。

●小谷静と京子は、あくまでも今回の計画の企画者でありながら、ヴァンパイア礼士に囮として使われると予測

●方法はまだ解らないが、ヴァンパイア礼士が用意したマジックナイフがどこかにあり、それが結局は恵さんの絵画を壊すきっかけとなる…

ここまで書き出した所で、春子のシャーペンは止まっていた。

「よくよく考えれば、謎、謎過ぎる!

だって…」

再び、春子のシャーペンを握る右手が動き出した。

●もし、そうだとしたら、実はつじつまが合わない。

私達が調査した場所で唯一、礼士先輩の顔をみて、ヴァンパイア礼士の事が(実際には、ヴァンパイア礼士としてでは無く、礼士先輩が、また来たと認識した)話題に出たのは、図書室の先生のみ。

つまり、ヴァンパイア礼士がトリックの仕込みをする材料集めとして立ち寄ったのは、私達が訪れた範囲だけを見るのであれば、図書室だけと思われる

「つまり、よくよく考えれば、他のどこに立ち寄ろうとも、一番肝心な演劇部に立ち寄っていないであろうヴァンパイア礼士が、あんな事を言うのは不自然…」
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