♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
理由
「…あなた達が美術部を訪ねてきた、前日の話よ…
紅葉公園での出来事があって疲れきっていた私は、学校を休み、自宅で休養していた。
そんな私の元に、こんな手紙が舞い込んできたの。」
そう言って恵は、制服のポケットから取り出した手紙を、春子と礼士に差し出した。
-紅葉公園での一件、見させてもらった。
恐らく、君はあの時、とても安堵と言うか、こう、心が解放された様な気分になってはいなかったかい?
…もし私の言ってる事に間違いが無ければ、明日のお昼時、学校の屋上に来てくれないか?
きっと、今後の君の、もっともっと、心を解放する手助けが出来ると思うんだ。
君を誰よりも理解している者より-
「そして、次の日私は指示通り屋上に行き、そこに用意されていたレシーバーで色々な話を交わした最後に、こう言われた。
『君の絵画を壊す為の道具の情報は、そのまま待っていれば、自然と手に入れられる。
ただ、本番の時に恐らく、お節介焼きな誰かさんによって、その道具にチェックが入るだろうから、その時は上手く交わしてくれたまえ』って。」
「やっぱり…
やっぱりヴァンパイアの奴、初めから恵さんに実行の全てを委ねていたのね。
だから…」
-よほどの事が無い限り、雪野恵の絵画を台無しにするのは、やっぱりマジックナイフだろうよ-
「…『よほどの事が無い限り…だろうよ』、つまりは、恵さんが自分を裏切らない限りは。
あの言い回しは、そう言う意味だったんだ。
私達が、行動をおこす事によって初めて、完成を見るトリック。
つまり、私達から恵さんが、今回使われる道具がマジックナイフである、という情報を得てから恵さんが動けば良い様に、ヴァンパイアの奴は仕掛けておいたんだ。
だから、今回使われる道具が何かなんて、知る必要は奴には無かったんだ。
…それにしても、なんて奴!恵さんの絵画を一番側で守る事ができる恵さん自身を、直接そそのかして真犯人に仕立て上げていたなんて!」
「初めて、私が静と出会ったのは、中学三年生の、夏休み。
私が、暴漢に襲われ殺されかかった事件から約1ヶ月後の事だった…
紅葉公園での出来事があって疲れきっていた私は、学校を休み、自宅で休養していた。
そんな私の元に、こんな手紙が舞い込んできたの。」
そう言って恵は、制服のポケットから取り出した手紙を、春子と礼士に差し出した。
-紅葉公園での一件、見させてもらった。
恐らく、君はあの時、とても安堵と言うか、こう、心が解放された様な気分になってはいなかったかい?
…もし私の言ってる事に間違いが無ければ、明日のお昼時、学校の屋上に来てくれないか?
きっと、今後の君の、もっともっと、心を解放する手助けが出来ると思うんだ。
君を誰よりも理解している者より-
「そして、次の日私は指示通り屋上に行き、そこに用意されていたレシーバーで色々な話を交わした最後に、こう言われた。
『君の絵画を壊す為の道具の情報は、そのまま待っていれば、自然と手に入れられる。
ただ、本番の時に恐らく、お節介焼きな誰かさんによって、その道具にチェックが入るだろうから、その時は上手く交わしてくれたまえ』って。」
「やっぱり…
やっぱりヴァンパイアの奴、初めから恵さんに実行の全てを委ねていたのね。
だから…」
-よほどの事が無い限り、雪野恵の絵画を台無しにするのは、やっぱりマジックナイフだろうよ-
「…『よほどの事が無い限り…だろうよ』、つまりは、恵さんが自分を裏切らない限りは。
あの言い回しは、そう言う意味だったんだ。
私達が、行動をおこす事によって初めて、完成を見るトリック。
つまり、私達から恵さんが、今回使われる道具がマジックナイフである、という情報を得てから恵さんが動けば良い様に、ヴァンパイアの奴は仕掛けておいたんだ。
だから、今回使われる道具が何かなんて、知る必要は奴には無かったんだ。
…それにしても、なんて奴!恵さんの絵画を一番側で守る事ができる恵さん自身を、直接そそのかして真犯人に仕立て上げていたなんて!」
「初めて、私が静と出会ったのは、中学三年生の、夏休み。
私が、暴漢に襲われ殺されかかった事件から約1ヶ月後の事だった…