♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
恋の挑戦状?
「…礼士せ~んぱい!

どうやっても、この部分、うまく行かないんですう。

もう一度、側で見たいなあ。先輩のマジック。」

「わ、わわ、分かったから、そんなにくっつかないで!

マジック出来ないよ!」

「だってぇ~、よ~く見たいんだもん、先輩の手つき。」

「ま、参ったなあ…」

あの出来事から数日が経ち、奇術同好会の室内では。

怒涛の、ラブラブ攻撃を礼士に仕掛ける春子。

それに対して、顔を真っ赤にして困惑した表情を見せる礼士。

机を前に椅子を横付けにして、いつもの様に、二人がハッピーな展開(?)を繰り広げていた。

「わあ~っ。やっぱり何度見ても、礼士先輩の手つきはすごいわあ。

惚れ惚れしちゃう…」

「だっ、だからそんなにくっつかないで~っ。

ああっ!」

「やあんっ!」

暴走機関車のスイッチが入ってしまっている春子はとうとう、礼士を押し倒す形で礼士もろとも椅子から転げ落ちてしまった。

「…は、早くどいてよハルちゃん!」

「ご、ゴメンなさ~いっ!

…でも、しばらくこのままで良いかも。」

「な、何を言って…

!?」

「ど~したんですかあ、礼士せ…

あっ、それ…」

「…そう言えば、今回の第7回浅野展は、前代未聞の大波乱だったみたいだね。」

「…やっぱり、すごかったんですね。

あの二人…」

春子に、上から押し倒される形のまま、何かを手にとって眺めている礼士。

ゆっくり、礼士から離れて床にひざを崩して座り込んだ春子。

礼士の手に取られた物、それは本来発行される事の無い、稲月高校広報誌の特別版だった。
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