元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「こんのっ、桜から離れなさいお馬鹿!!」
バシン、と、鈍い音が響く。
「っ、き、今日はやけに暴力的だな…っ!」
頭を抑えてうずくまる仁くん。
目に涙を溜めていることから、相当痛かったことがわかる。
「あ゙ぁん?その言うことが聞けないお口は縫ってあげようかしら?」
…麗華、口調が凄いよ…。
どこかのヤンキーみたいになってるよ…?
「え、やだし!」
「はーい。ちょっと、誰か針と糸持ってきてー!」
「わ゙ー、わ゙ーっ!ストップ!」
どこからか針と糸を用意しようとする麗華を必死に止める仁くん。
その光景を見て、なんとも言えない私。
苦笑いしか出てこない。
「あ、あの。そろそろ中に入らない?ご近所迷惑だし…」
勇気を振り絞って、二人に言ってみる。
「あら、それもそうね。…じゃ、帰っていいわよ。ご苦労だったわね。」
「え、ちょ、俺は!?俺中に入れてくれないの!?」