元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「何よアンタ。この麗華様の家に入ろうっていうの?…図々しいわね。常識が足りないわ。」
「何この子!何この子!」
わーん、と泣き真似をする仁くん。
「麗華…、送ってもらったんだし、流石に酷いよ…?」
仁くんが可哀想すぎる…
「チッ…桜が言うんじゃ仕方無いわね。……アタシの家に入る許可を特別に出してあげるわ、仁。桜に感謝しなさい。それと、この優しい麗華様にもね?」
どうだっ!とでも言うように、思い切りドヤ顔で仁くんに向かって言う。
そんな言い方でも、家に入れることが嬉しかったのか仁くんは、
「ヤッター!ありがと、麗華」
にっこり微笑んだ。
その姿が少し子供っぽくて、私は思わず笑みを零した。
「…あ!桜ちゃん、今笑った!めっちゃ可愛いぃぃぃぃぃ!!」
「ふん、当たり前でしょ。アタシの桜なんだから。」
「え、俺のだし」
私は私のものだよ…。
麗華のでも仁くんのものでもないっ!
そう言おうとする前に、ガチャッと音がした。