元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
【慧side】
「ふぅ…」
今は屋上。僕達来龍は、屋上が溜まり場だから。
「あ〜きらっ!どうしたのぉ?ため息なんてっ!」
ため息をつくと麻里奈が話しかけてきた。
…麻里奈、か。
「や、なんでもないよ?」
「……ふーん?ならいいけどぉ。」
笑いながら言う俺に、あまり興味のなさそうな麻里奈。
しまったな…。麻里奈の前でため息をつくなんて。なんか勘づかれたか…?
…嫌、それはないか。
いつも笑顔で、なるべく普通に接してるつもりだったんだけど。
気付いたらため息が出てるんだもんなぁ…。
「僕、ちょっと授業出てくる。」
「え!?慧、正気かよ?お前いっつも授業なんて出てないじゃんっ!」
授業を受けようとする僕に櫂が突っかかる。
気分転換に授業に出ようと思ったんだけどな…。
やっぱり、僕が授業を受けるなんて変か?
いつも出てないからな…。