元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「…っはぁ」
走っていた足を止める。
…生徒玄関まで、来てたのか。
どれだけ無我夢中に走ってたんだ、僕は。
前髪をクシャリと掴む。どうしようもないこの気持ちを堪えるように。
暫くそうしていると、ふと声が聞こえた。
「…こ………る!」
…?誰だ?こんな時間に…。
声が聞こえてくるのは門の方から。
僕は少し気になり、門の方へと視線を向ける。
次の瞬間、僕は目を見開く。
「良かった!まだ門開いてた…!」
………さく、ら?