元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
微笑みの悪魔
【桜side】
「…桜、」
誰かの声がして、後ろを向く。
私の名前を、呼んだのは…
「…麗華?」
後ろにいたのは麗華。
だけど、いつもと雰囲気が違う。
「麗華、どうしたの…?」
”何か”あったのは一目瞭然だけど。
その”何か”を聞いてはいけない気がした。
「…なんでも、ないわ。心配してくれてありがとうね、桜。」
そう言ってにっこり微笑む麗華はいつもと変わらない。
私は麗華の笑顔に安心して、頬が緩む。
「そっか、良かった。」
…さっき起きた事も、忘れられそうだ。