元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
麗華に気付かれないよう、なるべく自然に笑う。
麗華には、心配かけられないから…。
「…そういえば。麗華、3限目の時居なかったからノートとれてないでしょ?
私の、良かったら写す?」
そう言いながらノートを差し出す。
「あぁ、3限目のね。写させてもらうわ。」
「うん。授業の内容…分かる?」
「大丈夫よ。もし分からなかったら…桜に全部任せようかしら?」
「ええ?麗華、それは無茶ぶりだよ〜」
「ふふっ。嘘よ、嘘」
他愛もない話をすると、心が落ち着く。
いつもどおり。
そう、いつもどおりで。
私も麗華も、それでいいの。
この平凡な日常に、変化はいらない。
麗華が私の隣に居てくれる、それだけで幸せだから。