元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー




「ひっ…!」



男は小さな悲鳴をあげる。


あーあ。


さっきからずっとこれの繰り返し。


もう精神的にもヤバイんじゃない?この男。


……ま、どうなろうと僕には関係ない。




こんな僕は、歪んでるのかな。



この男が精神的に壊れていく姿も、嘲笑してしまうぐらい。



どうしようもなく、心が真っ黒。




でも、別にいいよ。それでも。




__一度手放してしまった”あの”手を、もう一度掴むことができるのなら。






ふぅ、とため息を落としながら、どうしてこうなったのか、と思い出す。





事の発展は数時間前だった。


< 226 / 355 >

この作品をシェア

pagetop