元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「ひっ…!」
男は小さな悲鳴をあげる。
あーあ。
さっきからずっとこれの繰り返し。
もう精神的にもヤバイんじゃない?この男。
……ま、どうなろうと僕には関係ない。
こんな僕は、歪んでるのかな。
この男が精神的に壊れていく姿も、嘲笑してしまうぐらい。
どうしようもなく、心が真っ黒。
でも、別にいいよ。それでも。
__一度手放してしまった”あの”手を、もう一度掴むことができるのなら。
ふぅ、とため息を落としながら、どうしてこうなったのか、と思い出す。
事の発展は数時間前だった。