元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
でも、今は篠原に任せるしかない。
焦る篠原に、声をかける。
「幹部候補生として、しっかり指示を出して。慌てずにね。」
僕がそう言うと、篠原は数秒の間のあとに、力強く頷いた。
「はい!幹部候補生として頑張ります」
「うん、頼んだよ」
篠原の瞳は、真っ直ぐ前を捉えていて。
コイツならできる、そう感じた。
「あの、渉さんが下にいるので…」
「あぁ」
一言告げると、篠原は幹部部屋を後にした。
………さて、僕らも準備しなきゃね。
「蓮。僕は櫂と伊織に声をかけるから。」
「分かった。俺は先にしたに行ってる」
幹部部屋を出た蓮を見送った後、櫂と伊織の方へ目をやった。
「大体、伊織はいつも口うるせぇんだよ!」
「あぁ゛!?なんだとこのクソガキ!」
「伊織もクソガキだろ!人のこと言えねぇよ!自分の事は棚に上げてんじゃねぇ!」
「っ俺の方が先に生まれてんだ!」
…まだ喧嘩してるし。
篠原が来て慌ててたっていうのに、物音に気付かなかったのか?