元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
狂姫と騎士と
【麗華side】
「で。あたしを呼び出したんだから、相当の用があってのことなのよねえ?」
「もっ、もちろん!」
ニッコリ、笑顔を貼り付けたまま問いかけるあたしに、仁はあたふたしている。
桜があたしの家から覚束無い足どりで帰ってから、仁に呼び出された。
ったく、桜ってば。
あたしの家に運んでから、まだ少ししか時間が経過してなかったのに。
泊まったら?って言ったのに!
帰っちゃうんだから…大丈夫かしら。
「あのー…麗華?」
「何よ!今考えごとしてるのよ!」
話をふる仁を、容赦なく睨みつける。
今は桜のことを考え中なのよ。
仁のことなんか頭の隅にもおいてないわ。
ふんっとそっぽを向くあたしを、隣にいた翔哉が宥めてくる。
「落ち着いて、ね?麗華」
「アンタあたしの弟の癖に指図するの?」
「いや、だから…」
「そんなんだから桜に帰られるんだよ。ばあーか。」
「何ですって!?」