元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー




「…何してるの」


顔が見えない中、翔哉の落ち着いた声が聞こえる。



「麗華にいじめられてる〜」



しくしく、と泣き真似をする仁。


うざっ。





「………助けてあげてもいいけど、」




「返り血塗れだぜ?俺ら」





翔哉の続きを修哉が補って言う。


暗闇から現れた双子。

返り血を浴びたその姿は、不気味のようで、妖艶にも見えた。



「うわあ…それはちょっと…、」



双子を見て言葉を濁す仁。


…そろそろ飽きてきた。



パッ、と手を離せば仁が驚いたように目を見開きあたしを見る。


…何?


怪訝そうに顔を歪めれば、仁が言葉を紡ぐ。



「麗華が、離した…!?」


「飽きたのよ」



「あぁ…そういう、ね…」



即答すれば納得したような、してないような、微妙な顔をする。



曖昧な態度に思わず舌打ち。ちっ。





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